ある年のことです。日照り続きで高田村の田には水が無くなって、せっかく植えた稲も枯れかけてきました。村人たちは、ほんの少ししか流れていない川の水を苦労して田へ運んでみたけれども、焼け石に水で何の効果もなく、ただ青い空を見上げてため息をついていました。やがて村人たちは、お地蔵さんや荒神社に雨乞いの願掛けを始めました。村じゅう総出で一生懸命祈願したのですが、雨が降りそうな気配は全くありません。
そんなある朝、一人のお百姓さんが田へ行って見ると、どの田にも水が満々と入っているではありませんか。びっくりして空を見上げると、相変わらずの雲一つない晴天です。不思議に思って周りを見回してみると、水は川から流れ込んで来ていたのです。水かさを増した川が音を立てて流れていました。
――どうしたことだろうか。
と思ってミナクト(水の取り入れ口)まで行って見ると、金の杖と草鞋の跡が残っていました。その草鞋の跡は、どの田のミナクトにも残っていたのです。そのお百姓さんは、金の杖は光泉寺のお地蔵さんの物だということを知っていました。
――これは、お地蔵さんと荒神社の神さんが救ってくれたに違いない。
さっそくこのことを村人たちに知らせました。村人たちは感謝の心を込めて、金の杖と草鞋の跡に手を合わせて拝みました。それから後、お地蔵さんと荒神社のお祭りは、村人総出で盛大に行われるようになったのだそうです。
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