むかし、女神様(市杵嶋姫命)が乳飲み子を連れて、九州の宗像から瀬戸内海へ、落ち着く先を求めてやって来られたんじゃそうです。そうして方々を尋ね回って、高田の「明神の一本杉」の所に立ち寄られた。明神というのは西能美島の高田の地名で、津久茂の瀬戸に面していて、風光明媚なたいへん心地好い所だったそうです。そこに大きな一本杉があったので、「明神の一本杉」と呼ばれていました。
女神様はこの美しい景色と静かな自然がたいへんお気に召されて、ここに社を建てて、子どもといっしょに住むことにしようと思われたんじゃそうです。ところが、その時突然、草むらから雉が一羽、けたたましく鳴き叫んで飛び立った。その鳴き声に、眠っていた乳飲み子が驚いて大声で泣きだしたので、女神様は「なんと、ここは子どもをびっくりさせる所ではないか。これでは子どもの身体に悪い」と言われて、他の地を求めてまた旅立たれたそうです。そうして落ち着かれた所が厳島だったので、女神様はそれから「宮島さん」と呼ばれるようになったということです。
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