伝説7 神仏・聖者の事業

岩風呂いわぶろ山の玄翁げんのう和尚(能美町)
 むかし、高田 の岩風呂山に、たいそう力持ちのお坊さんが住み着いて、修行をしておったそう 。村のもんらはこのお坊さんを「玄翁和尚」いうて呼びよったそう
 この岩風 呂山にゃあ「四郎九郎」いう大岩があってのう、山へもんを採りぃ行ったり、木をり出す時などに、とっても邪魔になって村の は往生しよった。それを聞いた和尚は、ある日、村の者らに四郎九郎の大岩のまわりに まってもろうたんじゃそうな。そうして和尚 が、
から、この大岩を三つに割って、遠くへ飛ばしてやる」
 いうて言うたもんじゃけえ、村の は口を揃えて、
「そりゃあちょっと待ってくれんさい。 が里へ転がり落ちりゃあ、家が潰れたり、大怪我ぁする人が ますけえ」
 言うて めたんじゃそうな。ところが和尚は、
「そがいなこたぁあ」
  うて、みんなの言うことを聞かずに、大きな鉄のつち ゅう取り出して、準備 しだしたんじゃと。村の者らはみんな高台 の方へ逃げて行ったそ な。
 そうしよったら、やがて が落ちたような大きな音がして、その音といっしょに大岩が割れて、北の空と の空へ飛んでいったげな。その時高台 におった村の者は、みんなそれを見たんじゃと。そうしたら和尚 はみんなに向かって、
へ飛んでいった大岩は北陸・新潟の高田へ、南へ飛んでいった大岩は伊予・今治の高田へ。これで日本に三か所『高田』が 来た」
 いうて うたんじゃと。
 大岩を割るのに使 うた鉄の槌は、この玄翁和尚の名を取って、「げんのう」と呼ぶようになったいうことじゃ

(話者 藤岡静馬)
風呂山の大岩