伝説10 巨人の事業

水晶山の弁慶 の足跡(江田島町)
 小用こようの北北東の方角に水晶山という山があります。ふもとに水晶が出るので水晶山と呼ばれています。 さは一二五メートルで、十五分も歩けば山頂まで登れますが、そこからは呉湾 と吉浦湾が一望できます。その頂上の少し先の方は岩ばかりで、岩場の真ん中 に、富士山のように五〇センチほど盛り上がった所があって、足を掛けるのにちょうど良い格好 になっています。岩の上部は平らで、そこに人の足跡のようなくぼみがあります。誰が言い始めたのか、それは弁慶の足跡だと伝えられています
 およそ八百年の 、平家と源氏の戦いがあって、一ノ谷・屋島の合戦に敗れた平家の軍勢 が壇ノ浦へ落ち延びる途中、平家の武士の中に、この江田島に隠れ住んだ人たちがあり、山田 に隠れ住んだのが宇根某で、その子孫が小用へ出てきた吉兵衛だと言われています。平家の落ち武者 を追討する源氏の武士は、この江田島や能美島にも立ち寄ったのかもしれません。大柿町 にも「引島伝説」があり、大君の沖の「引島」は、飛渡瀬ひとのせにあった島を弁慶 が掴んで移したもので、島の峰が五つに分かれているのは、弁慶 が掴んだ時の指の跡だと言われています。
 また、沖美町の岸根がんねにも、天狗てんぐさんが投げたという大きな石がありますが、それは天狗ではなくて、弁慶 が投げたのだと言う人もいます。
(伝承者 竹本輝雄)
水晶山の弁慶の足跡