伝説12 村の起源・地名の由来

鹿川かのかわの地名のいわれ(能美町)
 尾登おのぼりの現在の水源地の近くじゃが、「カフジ」いう所に、きれいな水が流れている川があった。そこへ鹿のつがいがいつも水を飲みに来ておったそうな。
昔ゃあ、この能美の島にも鹿 がヨウケェ(たくさん)おった、いうんよ
 ある 、鹿が番いで水を飲みに来た。それから昼も来た。
ところが夕方にゃあ一匹しか来んかった。 くの人が、
――こりゃあ、おかしい。どうしたんじゃろうか
 思うて、 へ探しに行ってみたら、
鹿がわなにかかって死んでおったいうんじゃ。
――こりゃあ、もうけたわい。
 思うて、鹿 を家へ持って帰って、肉は食うて、皮はオンコロ(袖無しの半纏はんてん)にして着て、 は丁寧に土の中に埋めて、その上に石を置いてやったんと。
 それからというものは、その鹿の でこしらえたヌクイ(暖かい)オンコロを着て歩きよるとの、生き残ったもう一匹の鹿が、あとをついて来るんじゃげな。追うても追うてもついて来るんじゃげな。そりょう見た人たちが れに思うてのう、ほいで、その りを「鹿の皮」言うようになったんよ。
 鹿が を飲みに来よった川も「シカノカワ」言うようになったんじゃが、「シカノカワ」じゃあ いにくいんで、「カノカワ」(鹿川)言うようになったんじゃ と
(話者 米原 猛)