伝説19 水・滝・泉の由来

「お萬ごろし」の (能美町)
 旧高田村字新宮という所に、お さんいうて、気立ての良い独り者の女の人が住んでおったそうな。毎日、半里(約二キロ)もある遠崎とおざきの畑へ、行きも帰りも重い荷を背負うて、仕事に行っとった
 ある日のこと、お さんが夜になっても帰って来んので、近所の人たちは「どうしたんじゃろうか」と心配 しとった。
にハマッタ(落ちた)んじゃあなかろうか」
「急な で、どこかで倒れているんじゃあなかろうか」
 ホイデ(そこで)、 を探す者と舟で探す者と手分けをして、みんなで探したんじゃが、見つからんかった
 あくる日、お萬さんの へ行ってみたら、があった。
「こりゃあ、そんなに くへは行っとらんド」
 いうので、またみんなで手分けをして、まわりを してみたら、山の中のデミ(泉・水源)の所で死んどるのが見つかったんじゃそうな。みんなでねんごろに葬ってやったそうなが、どうして死んだのかわからん。「頓死 じゃろう」「いや、ハミ(まむし)に噛まれて が回ったんじゃろう」「そうじゃあなかろう。 を飲む時に、きっとヒイル(ひる)もいっしょに飲んで、 を吸われたんじゃろう」……皆であれこれセンガン(憶測)してみたが、結局 、誰も本当のことはわからんかった
 やがて、お さんが死んだデミを、誰ともなく「お萬殺しのデミ」と呼ぶようになったんじゃそうな。今日では、「お萬ごろし」と言えばこの のことじゃが、どんな日照りの年でも水がれたことはあそうな。気立ての良かったお さんのことじゃから、親切 にしてくれた村の人たちへのお礼に、このデミを守ってくれとるんじゃろうて
(話者 福田順蔵)