いつのころかわからん、だいぶん昔のことです。
春になって野良仕事にはもってこいのある日、山根さん(一説では、農夫・豊松)が畑を耕していると、鍬の先が何かに当って硬い音がしたんじゃそうです。そこを掘って見ると、漬物石にちょうど良い大きさの石が出てきた。それで家に持って帰って、角を削って丸くかたどっていたら、血がたくさん滲み出てきた、いうんです。不思議なことだと思いながらも、漬物石として使っていたところが、ある晩、その石が夢枕に立って、
「私は薬師家の石なので、家に帰してください」
と涙を流して頼むんじゃそうです。気味悪くなった山根さんは、早々にその石を薬師家に返しました。そこで、薬師家では薬師堂を建ててその石を祀ったということです。 |