伝説 24 祠堂しどうの由来

の「神さん木」(能美町)
 森木(地名=小高い丘の上にある)にゃあクロガネモチの大けな が二本あった。一本は れて、今ぁ一本だけになっとるがノ、根元の周りが六〜七メートルはあるかのう。この木は になると花をいっぱい咲かせるんで、その蜜を吸いに蜜蜂がマア来るは来るは、 がってやって来るんじゃ。その時には、蜜蜂の羽の が森木じゅうに広がってのう、ちょうど飛行機が通る時のような がするんよ。ほいじゃが、今までにただの一ぺんも実を付けたこたぁあ。あれだけ花が咲くのに実が無あいうのは不思議なことでぇ。この木の下にほこらがあるんじゃが、ナシテ(なぜ)あるかいうたらノ、こういういわれがあるんじゃそうな
 昔から になるとノ、この島は水が少のうなって、どこでも困りよったんよ。この森木 は高ぁ所にあるんで、特別に困りよった。毎日丘の下へ水ぅ汲みに行くなぁアマナごう(ちょっとやそっとの苦労)じゃあなかったんよ。ほいで、この丘に井戸を ろういう話が出たんじゃが、
「高ぁ丘の上に掘っても、 が出るんかのう?」
 言うて、みんな二の足を んだのよ。じゃが、
「ここに井戸 がありゃあ、みんなが楽になるでぇ」
 いうんで、あのクロガネモチの木のそばに掘ることにしたんじゃ。そうして掘ってみたら、なんときれいな が出て来たんよ。ほいで、よう見るとノ、その水はクロガネモチの を伝わって土の中から湧いて来よったんじゃげな。
「こりゃあ、この木に さんが宿っとってんじゃ。そして、わしらに水を恵んでくれたんじゃ。有難 いこっちゃ」
 言うて、みんな喜んだ。それで、この木の下に祠を建てて、水神さんをまつったんよ
(話者 木戸代作)
森木の「神さん木」