伝説 28 祠堂しどうの由来

大臣だいじん(大柿町)
 平大臣いうなぁ平家の落人おちゅうど伝説じゃろう思います。
 昔、大君おおきみ王泊おうどまりへ平家の一族が立ち寄った。その時に、一部の人が飛渡瀬ひとのせを通って現在の中町の高下こうげへ行く途中、飛渡瀬のミヤカに船をつないで休んだが、病が重かったので、この地で亡くなっちゃったいうんです。道のすぐへりほこらが建ってあって、そのすぐ前に水が湧いて出ていましたが、今はもう もかまわんけえ、水も出んようになりました。四十年ほど前まではこの道も狭い道で、すぐ横のがけになっちょる所に元の祠があって、大きな岩もあって、表面に梵字ぼんじのようなものを彫った跡があったようですが、道路を拡げる折に邪魔になるいうて、 り取ってどこかへ捨ててしもうたんですよ。「 はもったいない」いうんで、大田耕由さんとわしらが今の場所に移しました
  は、ここの湧き水は眼病や胃病・皮膚病などによく効くいうて評判になって、遠くは呉の方からも を洗いに来んさったです。大雨が降ると水も時にゃあ濁って汚くなることもあるけえ、「なんでも井戸 を掘り替えようや」いうことで、大田さんと幸地さんとわしと三人で今の井戸を掘って、 の水源地からパイプを引いて水を溜めるようにしたわけですが、今はさびれてしまって誰もかまわんけえ、 も落ちて来んようになりました
 あの きな岩には何かいわれがあったらしいが、捨ててしもうて、惜しいことをしたよのう。あの岩と対面するように、江田島の鷲部わしべにも大きな岩がありますよ。県道沿いの、字か絵の模様を彫った大きな岩で、その下に墓石 のような石があります。この両方の岩の間を火の玉が海を渡って行ったり来たりするのを、 は多くの人が見かけたいう話が伝えられています。これを「天狗の 渡り」言うとりました。今でもそういう の玉を見たいう人もいるよのう。誰でもかれでもこの火が見えるいうもんじゃああ。神さんや仏さんを信心している、霊感のある人にゃあ見えるんじゃげな、といういわれがあるんですよ
(話者 小尻武夫)