「奈佐美の蛇ゃあノ、昔からおったんよ。昔、山が焼けた時に、美能や三吉の者が火を消しに行ったら、大きな蛇が出て、ありょう見て寝付いた者もおるいうけえ。当時の者はもうおらんがのう」 「奈佐美の蛇か。あれは、わしも見たよ。終戦の年、まだ兵隊がおった時じゃが、親父について何か持って行ってやった時じゃった。倉庫をのぞいたら、中でトグロを巻いちょった。兵隊さんに言うたら、『ありゃあ、どうもせんよ』言うたが、そりゃあ大きな蛇じゃった。昔もおった言うけえ、もう十年も生きとるんじゃろうか」
「今もおるんじゃろうか」
「さあ、どうかのう。終戦後の火薬の処理で、ドカン、ドカンやった後は、あの高い山の辺に隠れておったようじゃが、工事(注 ゴルフ場建設予定工事)の発破をやったころまで、作業員がよく見たと言うとった。今は東の方には棲めんので、西の宮島寄りにおるんじゃないかのう。このごろは、見た言わんようになったけえ」
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