むかし、ナゴウマ(長浜)の海岸べりで漁師が網を洗いよったらのう、そこへ大きな大きなタコ入道が海から現れて、音も立てずにコッソリ漁師に近付いて、後ろから羽交い絞めにしたんじゃそうな。そうして、「助けてくれーッ!」言うて手足をバタバタさせている漁師を海の中へ引っぱり込んで、食うてしもうたげな。 この様子を近くの山から見ていた若者が、
「ようし、敵を取っちゃろう!」と、大きな船板を一枚、それに船釘を八本用意して、大ダコが現れるのを待ちよったんじゃそうな。タコ入道は、
「こりゃあ、またうまそうな御馳走が来とるわい」と浜へ上がって来て、八本足で若者を襲ったんじゃ。ところが、今度は勝手が違った。若者はパッと身を翻して、ネチャリヒョロリと伸ばしてくるタコの足をからめ取って、素早く船板へ釘で打ち付けてしもうた。そうして八本の足を全部船板に打ち付けたもんじゃけえ、タコ入道は張り付けになって、とうとう生け捕りにされてしもうたんじゃと。
昔は、早瀬の瀬戸に大ダコが棲んでおって、人が泳いで渡りよったら海の底へ引っぱり込まれて死んだ、いう話がありよったもんじゃ。
|