世間話24 動物の不思議

ゴウマのタコを退治した話(大柿町)
 むかし、ナゴウマ(長浜)の海岸 べりで漁師が網を洗いよったらのう、そこへ大きな大きなタコ入 が海から現れて、音も立てずにコッソリ漁師に近付いて、後ろから 交い絞めにしたんじゃそうな。そうして、「助けてくれーッ!」言うて手足をバタバタさせている漁師 を海の中へ引っぱり込んで、食うてしもうたげな。
 この様子 を近くの山から見ていた若者が、
「ようし、かたきを取っちゃろう!」と、大きな船板を一枚、それに船釘ふなくぎを八本用意して、大ダコが現れるのを待ちよったんじゃそうな。タコ入道 は、
「こりゃあ、またうまそうな御馳走ごちそうが来とるわい」と浜へ上がって来て、八本足で若者を襲ったんじゃ。ところが、今度は勝手 が違った。若者はパッと身を翻して、ネチャリヒョロリと伸ばしてくるタコの足をからめ取って、 早く船板へ釘で打ち付けてしもうた。そうして八本 の足を全部船板に打ち付けたもんじゃけえ、タコ入道は張り付けになって、とうとう け捕りにされてしもうたんじゃと。
 昔は、早瀬 の瀬戸に大ダコがんでおって、人が泳いで渡りよったら海の底へ引っぱり込まれて死んだ、いう がありよったもんじゃ。
(話者 君川敏雄)