桶屋はのう、ヨウ(よく)道の真ん中で、長あ竹を道に並べて割りよろうがい。ああやるんが一番やりやすいのよ。ほいじゃけえ、道を通る者にゃあ邪魔ようのう。ほいでなによう、前にゃあ(昔は)役人からヨウ小言を言われよったし、どうかすりゃあ、せっかく並べた竹を除けにゃあならんこともあったんじゃげな。
それがなによう、いつ、どこでじゃったか知らんが、偉あ人がなによう、賊か悪者かに追われてのう、ちょうど酒蔵の前まで逃げて来んさったんじゃげな。ほうしたらなによう、蔵ん中から桶屋が出て来てのう、その人を酒蔵の大桶の中へ隠しちゃげたんじゃげな。
それで、その偉あ人が喜んで、その褒美にノ、これからは道の真ん中で竹を並べて仕事をしてもエエ(よい)言うてくれたんじゃげな。ほいじゃけえ、今の巡査でもノ、桶屋が道の真ん中で竹を割りよってもノ、あんまり小言を強う言わんようになったんよ。
同じ竹を使う仕事でも、藤屋はいけんのよ。
桶屋ならエエんよ。
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