世間話33 勘兵衛夜話

なかけたかつぎ(第一話)
 翁がまだ鷲部にいた若いころ土居家 の普請が始まった。名にしおう豪家のこと多くの人が集まり巨石、巨木が集められた。屋敷 は山上の高台にあり材料の運搬はなんぎをきわ た。
 中でも難物 は中桁で屈強の若者八人がかついだが道が悪くて手に負えない。業をにやした勘兵衛は巨木 の真ん中に肩を入れ、ただ一人で山上にかつぎ上げる。一足ごとに巨木(さしわたし二尺余)がしわしわとしなった。掛値 なしの八人力だと人々は をまいた。