笑いばなし2

うな」を食うた話(江田島町)
 むかしのことよ。ある夏の日 、トコロ天がうまいころのことよのう。その男の子は生まれつき胃腸が弱くて、よく下痢をするんじゃそうな。だから、親父おやじは「トコロ天を食わすなよ」と、日ごろからオカア(母親)に うとったんじゃが、
――少しぐらいなら、エエ (よい)じゃろう。
 と、オカアは の子にトコロ天を食わしてやることにした。そいじゃが、親父に知られると叱られるので、「 うな」「言うな」と言いながら食わしたんじゃそうな。 うてみりゃあ、うまかったので、その子はヨウケイ(たくさん)食うてしも た。
 ところが夕方になって、 の定、その子は「腹が痛い」と言いだした。そこへ親父 が帰って来て、
「どうし んなら」
 ときいたら、その子は腹を押さえて、 けなげに親父の顔を見上げたんじゃそう
「何か いものでも食うたんじゃろう。トコロ天を食うたなッ」
「いや、トコロ天は食 ぁせん。『言うな』を食うた」 
(伝承者 竹本輝雄)