角増渉編著『ふるさと江田島―江田島の民話―』には、辰五郎という名のオドケ者を主人公にした笑い話が一四話収められている。その中から第一話・第三話・第七話を転載しておく。大分県の「吉四六」に似た、頓知にたけた辰五郎の滑稽話である。 ◇ 江田島の切串に辰五郎なる者が存在した。あることないことおおげさにでっちあげ、面白、おかしく、独特のユーモアなる語り口で、身振りよろしく披露する。悪口や、いやみを言うでなし、聞き手を壮快な気分にひたらせ、心温まる思いで、次を期待するというぐあい。本人も心得ているのだろう。まさに愛すべきうそである。
多少、尾ひれをつけてうけつがれたのであろう、時代も、江戸、明治、大正、昭和とごっちゃである。
今でも、大げさに物語り、人の前で、ですぎものを、辰五郎との愛称をくっつけている。もう個人でなく、総称といったたぐいである。
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