笑いばなし6

ご屋にかわって(第三話)
 辰五郎が、東海道の旅に出た。見れば大変駕籠かご屋が困っている。
「もっと早う行かんかい。駕籠屋 なら駕籠屋らしく、揺らさんようにもっと上手にかたげ」
「上手に担いどると うちょる。わしら一生懸命じゃ」
「嘘つけ。とにかく った。休んでくれ」
 さっきから、この様子 を見ていた辰五郎さん。
駕籠屋 さん。私が代りましょう。駕籠に乗ったお客さん、ちと文句が多いようです う」
「いや、わし の商売じゃけん」
「銭を取ろうと言う じゃない。お客のわがままを懲らしめちゃるんじゃ。貸せ
 言うが いか、二人で担いでいたのを一人で担ぎ、足速に歩きだした。川の橋にさし かった。
「お客さん。 んでくれ言うから休んじゃるで」
 駕籠を川の へつっぱり出して、担ぎ棒を橋の一端に掛け右足で踏んで、橋の欄干 腰を掛け、大きなキセルを出して、煙草をスッパスッパと吸っている。
駕籠 から出してくれ。頼む」
 その度に右足 を上げれば、グラッと傾く。
けてくれッ!」
 駕籠から外を むれば、川の面である。顔面が真っ青になる。辰五郎は、上がってくる担ぎ棒を、また右足 で踏む。
 文句を言う度に、辰五郎 は右足を上げたり、踏んだり。
「ヒャアッ!  らえてくれ、駕籠屋様」
 駕籠の中のお客 、青息吐息だったという。