「太郎よい。わしゃ他家を訪問して、下駄を替えられて困るんじゃ」 「本当よのう。わしも、名前を書いたり、印を付けたりして行くんで」 「そいでも、よう替えらりょうがい」 「本当にのう」 「頭と力を利用せんにゃ」 「辰五郎さんは、どうするんの」 「そりゃあ、太郎。わしはじゃのう、下駄を押さえるんじゃよ、重い物で」 「何で押さえるんの」 「頭と力が違う。柱をちょっと持ち上げて、下駄の上に置くんじゃ。そして帰りにゃ、また柱を持ち上げて、下駄を取って履いて、元通りにしておくのじゃ」 「下駄が、ヨウヘシャゲンのう(よくつぶれないねえ)」
「そりゃあお前、わしの下駄は特別製じゃからのう」
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