世間話19 動物の不思議

きつねにだまされた話(1)(大柿町)
 大附おおづけに胡子実一さんという方がおられました。もう亡くなりましたが、その人から いた話です。
 胡子 さんが若かったころ、深江の友人を家に招いて、二人でお を飲んだ時のことだそうです。お酒があまり無かった時代で、二人 は時を忘れて飲んでいるうちに、すっかり ってしまいました。
「もう、そろそろ ろう」
と言うので、お土産を風呂敷ふろしきに包んで持たせて、胡子さんは友人を見送りました。
 そのころ、深江村 と大附を結ぶ村道(通称・深江道路)がありました。今は新しい町道が出来て、古い は農道として使われています。友人はその「深江道路」を越すわけですが、お土産 をしっかり持って歩いて帰りました。途中に、昔から「広島ゴミ」を一時積み上げて置く所がありました。そこまで って来たら、そこから先は、 いても歩いても深江の家に着きません。同じ所をいつまでも行ったり来たりしているような…… がわからなくなってしまったんだそうです。東の空が薄明るくなったころに、ようやく友人は気が付きました。すると、お土産 の風呂敷包みがズッシリと たくなっていました。振ってみると、ガチャガチャと音がします。
―― うしたんだろうか。
 と、風呂敷を解いて見ると、お土産の御馳走ごちそうは無くなっていて、茶碗ちゃわんのコゲタ(壊れた)ような物がいっぱい っていたんだそうです。
――こりゃあ にだまされたんじゃ。
 友人は、それにしてもどうやってだまされたのか、 く思い出すことができなくて、不思議 でならなかったそうです。
 あの深江道路 のゴミ置き場付近には狐の親分がんでいて、「みんなよくだまされるから、気をつけろ」と、昔から評判 になっていた所なんだそうです。
 (話者 畠岡アヤノ)